そろそろ3月3日ひな祭りの時期、桃と菜の花の季節です。
青山花茂も、ひな祭りにあわせて毎年、桃の商品を販売します。
フラワーギフトだけでなく、いけばなでもこの時期は桃を活けますよね。
しかし、皆さんご存知でしたでしょうか。
自然の桃はひな祭りに合わせて咲いてくれません。
桃の開花は、例年ですと3月下旬から4月にかけて。
ちょうど旧暦でいうひな祭りの頃なのです。
■桃の促成栽培
タイムリーな桃の花の供給は、生産者さんの努力の賜物。
100年以上前から日本有数の花桃の産地である
川崎市宮前区の「馬絹(まぎぬ)」に代表されるように、
神奈川県には花桃の生産者さんが点在しています。
桃を切りはじめるのは例年1月10日前後。
数十本単位に束ねた桃を常温の倉庫で数日、十分に水を飲ませます。
その後、暗く暖かい「室(むろ)」と呼ばれる温室に貯蔵し、
上部のつぼみがほころびかけた頃に出荷するのです。
■室(むろ)で促成
「室」は室温28℃前後、湿度80%の、
コンクリートで囲まれた真っ暗な部屋。
暖かくすることで桃の開花が進みます。
真っ暗なことも重要で、花色を鮮やかにする効果があります。
かつては麦ぬかを発酵させて温めていましたが、
現在は電気ヒーターで温め、扇風機でエチレンガスを拡散させる
など工夫がされています。
■2年目の枝を切るのが重要
枝を切って収穫した切り株の「台木(だいぎ)」。
同じ台木から翌年も収穫する地方もあるそうですが、
青山花茂が、明治時代から現在に至るまで取引する生産者さんは、
1年間は枝を伸ばし、2年目の枝を切って出荷する場合が大半です。
2年間の時間をかけることで、枝が色濃くしっかりとし、
花の芽が多く、花の色が鮮やかな桃が作られるのです。
■桃を切りに山へ・・・
ホテルに活け込む長い桃の枝。
この長さは市場に出回りませんので、枝を切りに行ってきました。
今、青山花茂の倉庫で蕾を膨らませながら出番を待っています。
生産者さんたちが2年間さまざまな苦労と手間をかけた桃の花を、
今年も、少しでも多く皆様のお手元に届けていきたいと思います。