5月5日はこどもの日。端午の節句にあたり、男の子の幸せを願って、鯉のぼりや五月人形、そして季節の花、花菖蒲(ハナショウブ)を飾る習慣がありますね。
青山花茂でも、毎年この時期が近づくと、花菖蒲の入荷についてのお問い合わせをいただきます。
今回は、花菖蒲やこどもの日(端午の節句)にまつわるあれこれをご紹介していきます。
目次
こどもの日(端午の節句)に飾る、花菖蒲はどんな花?
花菖蒲は、東アジア(中国東部、朝鮮半島から日本)地域に分布するノハナショウブが原種の、アヤメ科の園芸植物。アヤメ科アヤメ属の多年草で、水辺や湿原を好み、戸外では6月の梅雨の頃開花します。
アヤメ科の花は、花菖蒲の他に、杜若(カキツバタ)、菖蒲(アヤメ)、著莪(シャガ)、ヨーロッパ原産のジャーマンアイリスなどさまざまな種類があり、アジアやヨーロッパで古来より親しまれてきました。
それぞれ花姿がよく似ており、特に菖蒲(アヤメ)と杜若(カキツバタ)は見た目の違いが少ないことから、「何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)」ということわざがあるほどです。アヤメ科の花とその見分け方については、以下のブログで詳しくご紹介しています。
参照:「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)… アヤメ属の違いと見分け方」
こどもの日(端午の節句)にはなぜ花菖蒲を飾るのか
五節句のひとつ、端午の節句
5月5日のこどもの日は端午の節句とも言われます。端午の節句は、年間5回ある「五節句」のうちの1つで、別名を菖蒲(ショウブ)の節句とも呼びます。
五節句は、7世紀の奈良時代頃に、中国から日本に伝わった季節催事のひとつ。奇数が並ぶ日は縁起の良い日とした中国の考え方が、奈良時代に日本に伝えられたものです。
五節句一覧表
日付 | 正式名称 | 別名 | 植物 | その他習慣 | |
1月7日 | 人日の節句 (じんじつ) |
七草の節句 | 春の七草 | 七草粥 | |
3月3日 | 上巳の節句 (じょうみ/じょうし) |
桃の節句 | 桃 | 雛人形 | |
5月5日 | 端午の節句 (たんご) |
菖蒲の節句 | 菖蒲 | 鎧兜・五月人形・鯉幟 | |
7月7日 | 七夕の節句 (たなばた/しちせき) |
星祭 (笹の節句) |
竹 | 七夕飾り | |
9月9日 | 重陽の節句 (ちょうよう) |
菊の節句 | 菊 | 菊酒 |
こどもの日(端午の節句)に入るショウブ湯の葉は、花菖蒲の葉とは別物
端午の節句には、初夏の田植えの季節に、邪気払いや厄払いとしてショウブの葉とヨモギの葉を家の軒に飾り、家内に邪気の入るのを防ぐまじないをし、その後湯船にその葉をいれて沐浴し身体の邪気も払う、という風習があります。
よく混同している方が多いのですが、菖蒲湯(ショウブユ)に使う「ショウブの葉」は花菖蒲の葉ではなく、全く別の植物であるショウブ科の「菖蒲(ショウブ)」です。形は花菖蒲の葉にも似ていますが、湯に入れるショウブの葉は、グリーンの色が薄く、根元が少し赤く、爽やかな芳香があります。薬効もあり、古くから漢方としても使われています。
こどもの日(端午の節句)に花菖蒲を飾る理由
端午の節句は、11世紀の鎌倉時代頃から、武家の男子の誕生を祝い成長を祈る節句にも発展していきました。武者人形や武具を飾り、鯉のぼりや五色の吹き流しを飾るなど、時代を経るにつれて地域による違いも現れ、現代でも日本独特の季節習俗となっています。
一方、17世紀の江戸時代にいろいろな園芸植物が楽しまれるようになると、ノハナショウブを改良して花菖蒲の栽培が盛んになり、江戸種(関東地方)、伊勢種(近畿地方)、肥後種(九州地方)など色や花型などに特徴のある新種が非常に多く開発されました。
今も各地の愛好家のお庭や観光地、菖蒲園などで多くの品種が保存され、訪れる人々を楽しませています。
そして、花菖蒲が武士道を称賛する「尚武(ショウブ)」という言葉とおなじ発音であり、こどもの日の時期に花を咲かせることから、端午の節句に飾る花となったと言われています。
ちなみに厳密には、自然本来の花菖蒲の開花期は(旧暦の5月にあたる)6月からですので、こどもの日に向けて出荷されるものは、開花調整を施されたもの。生花店で花菖蒲が流通する5月初旬頃には自然の中で咲く姿を見ることはほぼありません。
花菖蒲を長く楽しむコツ
花菖蒲は一番花(いちばんか)が咲き終わった後に萎れた花を取り除くと、同じガクから二番花(にばんか)、三番花(さんばんか)が咲く特性があります。花菖蒲をご自宅で飾る際は、この工夫をすることで、より長く花をお楽しみいただけます。
花菖蒲の二番花の咲かせ方
二番花が咲く花菖蒲か確認する
花びらが萎れて内側に巻き始めてしまった花菖蒲。萎んだ花のガクを触ってみて、中に蕾が詰まっているような硬さを感じたら、二番花の咲く花菖蒲の証拠です。
萎れた花菖蒲の花を取り除く
萎れた花をねじり、手で取り除きます。外側にひねると、ポキっと折れて簡単に取ることができます。
数日後に二番花が開花
萎れた花びらを手で取り除いてから、数日で二番花が咲きました。一番花を取り除くことで養分や水分が浪費されることを避け、二番花が咲きやすくなっている気がします。
このような方法は、菖蒲園でも行われていること。大きな菖蒲園には何万株と花菖蒲の花がありますが、ひとつひとつ人の手で手入れをすることで、長い期間美しい花を楽しむことができるのです。
初節句やこどもの日に贈りたい、花菖蒲のフラワーギフト
和の趣が感じられる花菖蒲。こどもの日には、古来からの伝統的な方法で、男の子の健やかな成長をお祝いしてみてはいかがでしょうか。男の子のいらっしゃるご家庭や、お孫さんのお祝いにもふさわしいフラワーギフトです。
青山花茂オンラインショップでは、花菖蒲の花束をご用意しています。16本の他に32本の花束のご用意もございます。ご希望の本数に調整も可能です。
青山店店頭でも1本からご購入いただけますので、ご来店の際は事前に入荷状況をお問い合わせください。
花菖蒲のお取扱いは4月中旬からこどもの日頃まで
今回は、花菖蒲やこどもの日(端午の節句)についてご紹介しました。
季節を彩る風情豊かな花飾り、5月の花菖蒲をこどもの日に合わせて、ご自宅のインテリアやフラワーギフトにご利用ください。
お取扱いは4月中旬からこどもの日頃までの短い期間です。どうぞ時期を逃さず、お楽しみください。
お電話、オンラインショップから、皆さまのご注文をお待ちしています。
電話:03-3400-0871
FAX:03-3400-8711
この記事の監修者
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
北野雅史
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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この記事を書いた人
青山花茂本店
東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。
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