春の花として最も有名なチューリップ。カラフルで丸みを帯びた花びらが可愛らしく、性別を問わず幅広い世代の方に親しまれている花です。チューリップの花言葉は「思いやり」「博愛」で、軽やかで優しい雰囲気をもつチューリップにぴったりですね。
今回は、チューリップの歴史や咲き方の種類、チューリップの特徴を活かした飾り方などを詳しくご紹介します。
目次
人々を魅了してきたチューリップの歴史
今や誰もが知るポピュラーな花であるチューリップですが、その人気には長い歴史があります。
チューリップの原種は背が低い
チューリップの原産地は、トルコからイラン、中央アジアを中心とした北緯40度線に沿ったエリアだと言われています。このあたりの地域ではチューリップの野生種が多く見つかっていますが、私たちがよく知るチューリップとは違い、背が低い種類が多いそう。このような野生種のチューリップは、強風が吹き荒れる乾燥地帯の中を生きるために背丈を低くしたと考えられています。
この、原種のチューリップ20種ほどを組み合わせて交配することにより、さまざまな園芸品種のチューリップが作り出されたそうです。
ちなみに、「チューリップ」という名前は、トルコ語でターバンを意味する「Tulipan」が元になっているそうです。確かに、花びらが重なり合うように咲くチューリップの姿がターバンと似ている気もしますね。
オランダのチューリップ・バブル
チューリップが原産地のトルコや中央アジアからヨーロッパに伝わったのは、16世紀中頃と言われています。その後、球根がオランダに持ち込まれ栽培されるようになるとすぐに、その美しさと珍しさから大変な人気を集めるようになりました。
チューリップは“富の象徴”とされ、花壇に咲き誇るチューリップは貴族や資産家にとって、ひとつのステータスとなっていきました。人気の高まりから品種改良が進み、手頃な価格の品種が現れる一方で、希少なチューリップの球根の価格は高騰し、投機の対象となりました。当時、珍しい品種の球根は、小さな家が買えるほどの値段がつくこともあったそうです。
1624年頃からチューリップの値が高騰し、1637年に突然下落した期間を「チューリップ狂時代(チューリップ・バブル)」と言います。
ちなみに、大衆向けの花となったのは19世紀に入ってからで、新品種が続々と生まれ、球根栽培の技術が飛躍的に伸びてからのことなのだそう。
このようなバブルが起きるほど、昔からチューリップは人々を惹きつける魅力があったのですね。
さまざまなチューリップの咲き方
チューリップといえば、赤や黄色、ピンクの丸い花びらのものを想像される方が多いでしょうか。実は、チューリップの品種は国際的にみると5000種類以上が登録され、日本でも数百種類が流通しています。チューリップは長い時間の中で品種改良が進み、多彩でさまざまな咲き方のチューリップを楽しめるようになりました。
ここでは、国内で流通しているチューリップの咲き方をいくつかご紹介します。
一重咲き
最もスタンダードな一重咲き。チューリップといえばこの形を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。丸みのある花びらが素朴で優しい印象で、色の種類も豊富です。青山花茂でも、最も入荷量が多いチューリップの咲き方です。
代表的な品種:クリスマスドリーム、クリスマスパール、ストロングゴールド、メリーウィドー
八重咲き
花びらが多弁で、牡丹に似たような咲き方です。ボリュームがあり、豪華さを感じられます。八重咲きのチューリップの中でも、バラの花姿に似ている一部は「バラ咲き」と言われることもあります。品種によって花びらの枚数が異なり、多いものでは40枚以上の花びらをもつ種類もあります。
代表的な品種:アンジェリケ、モンテオレンジ
ユリ咲き
花びらの先が細長くとがり、外側に開くようなユリ咲き。名前の通り、ユリの花に似た花姿をしています。
代表的な品種:バレリーナ、プリティウーマン
フリンジ咲き
花びらの縁がギザギザになる一風変わったフリンジ咲き。レースのような縁取りが個性的で可愛らしい咲き方です。
代表的な品種:ベルソング、ハウステンボス
パーロット(パロット)咲き
パーロット(Parrot)とは、オウムのこと。この咲き方のチューリップはオウムの羽のような花びらが特徴です。
代表的な品種:フレミングパーロット、スーパーパーロット
王冠(クラウン)咲き
くるりとウェーブした花びらが反り返るような王冠咲き。その名の通り、花が王冠のように見えることからその名がつきました。近年は流通量が減少しつつある咲き方のひとつです。
代表的な品種:ウィットピクチャー、ホワイトリバースター
チューリップは切り花にした後も茎がどんどん伸びる
チューリップはカラフルな花だけでなく、茎や葉などのみずみずしいグリーンも魅力的な花。切り花にして活けた後も、茎が伸びたり、花が開いたり閉じたりするのもチューリップの特徴です。とても生命力を感じますよね。
チューリップを飾るコツ3選
切り花にした後も、茎がどんどん伸びるチューリップ。そのため、花瓶に活ける際には花が重たくなってしまい、茎が曲がりやすいという少し厄介な特徴があります。
チューリップを飾る際は、茎が曲がらないように工夫して活けると、綺麗な状態で長く楽しむことができます。ここでは、チューリップを飾る際の3つのポイントをご紹介します。
1.チューリップを軸になる花に添わせて飾る
軸がしっかりした花を合わせ、その花にチューリップをもたれかけるように飾る方法です。同じシーズンの花では、桜やフリージアなどもおすすめです。
2.伸びてきたチューリップの茎を切って長さを調節する
チューリップを花瓶に飾ってだんだん茎が伸びてきたら、茎の先端を切り戻して長さを調節するという方法です。切り花を活ける際には、水切りをすると長持ちするので、その要領で行うと良いでしょう。詳しくは、こちらのブログでもご紹介しています。
3.チューリップを長めの花瓶に飾る
チューリップを花首が花瓶に引っかかるくらい長めの花瓶に入れる方法です。このような飾り方をすることで、茎が伸びてきても垂れ下がることがなくなります。
チューリップの飾り方については、こちらの動画でも詳しくはご紹介しています。
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チューリップのフラワーギフト
春を感じさせてくれるチューリップは、お誕生日や記念日などのお祝いの贈り物としてもおすすめです。青山花茂で扱うチューリップは、花ひとつひとつがしっかりとしたものが多く、華やかな印象。チューリップを主役としたアレンジメントやブーケを多数ご用意していますので、いくつかご紹介します。
伸びやかに咲くチューリップのアレンジメント
濃淡のピンクのチューリップを中央に、淡いグリーンのハイドランジアやカーネーション、淡いピンクのスイートピーなど。チューリップの伸びやかさを活かした、少し高さを持たせたデザインです。
チューリップと春の花を合わせたブーケ
黄色いラナンキュラスに、流通量の少ない白いチューリップを合わせたラウンドブーケ。白と黄色の繊細なグラデーションが魅力です。
お手入れの楽しみを味わえるチューリップの鉢物
※鉢植えのチューリップは2月末までの販売です
お庭などの露地咲きよりも早く、室内でお楽しみいただけるチューリップの鉢植え。開花を楽しんだ後は、花茎を切り取った後、日当たりと風通しの良いところで水やりのお手入れを続けると、球根が夏を越す準備をします。夏は水やりをせず、球根を掘り起こして風通しの良いところに保存し、早春に鉢植えすると、翌春も開花できる場合があります。
オフィスエントランスを彩るチューリップの装花
フラワーギフトだけでなく、チューリップを使った装花も素敵です。イベントやオフィス、ショップエントランスなどはもちろん、ご自宅へのご相談も可能ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
チューリップのお取扱いは1月から3月末頃まで
今が旬のチューリップ。これからの季節のイベントに、贈り物として選んでみてはいかがでしょうか。
チューリップのお取扱いは、切り花は1月から3月末頃まで。鉢物は2月末頃まで。どうぞ、さまざまな用途でご利用ください。
お電話、オンラインショップから、皆さまのご注文をお待ちしています。
電話:03-3400-0871
FAX:03-3400-8711
この記事の監修者
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
北野雅史
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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この記事を書いた人
青山花茂本店
東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。
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