河骨(こうほね)の花は絶滅危惧種

河骨(こうほね)という花をご存知でしょうか。

沼地や緩やかな流れの川に生える水生植物の一種で、6月〜9月に独特の黄色い花を咲かせます。
白い地下茎が骨のように見えることから、河骨と名付けられたという説があります。

水面から花芽を出し、葉の下で黄色い一輪の花を咲かせます。

夏の季節、ハスや睡蓮などの「みずもの」の一つとして、いけばな各流派では重要な伝統花材として今も需要があります。
水盤に活けることが多いですが、花瓶に活けることも。

河骨と睡蓮を水盤に活けたり、
太藺(フトイ)と一緒に花瓶に活けたりします

しかしながら、いけばな関係者以外の若年層に「こうほね」と言っても、ほぼ誰も知りません。それもそのはず、普通の花屋さんには取扱いがありませんし、最近は沼や川でも見ることはないはずです。

かつては里山の用水路や沼地に自生の河骨がよく見られたようですが、水質悪化や水路の改修などにより、自生のものはかなり少なくなりました。
特に関東では各県のレッドデータブック(絶滅危惧種のリスト)にも載るレベルまで減少しており、絶滅危惧種と言っていいと思います。

自然環境でこれほどまでに減少している状況の中で、生産農家が減少するのは当然のことかもしれません。他の花や農産物に比べて、河骨の生産には以下のような特性があり、採算が取れにくいのが実情です。

 ・水質と水量など、周辺環境が良いことが生育の条件となる
 ・水の中に入っての収穫は足元が安定せず、大変な作業
 ・切った後は暑さにとても弱いので、早朝か夕方の収穫となる

こうした難しさがある中で、河骨の生産を続けていただいている生産者さん。頭が下がります。

先日、畑を見せていただきました。

花は黄色からオレンジ、最後は赤くなって枯れます。

こちらの生産者さんは、綺麗な地下水で、河骨だけでなく、睡蓮(すいれん)や水生カラーも作っています。

手のひらサイズの睡蓮。夜は花を閉じ、日中に開花します。
河骨と同じように、葉の陰から花をのぞかせます
水生カラーも生産されています

生産量が限られる希少花材を、お客さまに安定的に届けるには、生産者さんとの連携が欠かせません。
今年もたくさん仕入れさせていただくことを約束してきました。

青山花茂本店いけばな事業部では、河骨・睡蓮・蓮など、いけばなに欠かせない「みずもの」をご用意しています。
普通のお花屋さんで手に入らないものも、お尋ねいただければご用意があるかもしれません。どうぞお気軽にお問い合わせください。

青山花茂本店 いけばな事業部

電話:03-6433-9187
FAX:03-6433-9165

この記事を書いた人

青山花茂本店代表取締役社長北野雅史

株式会社青山花茂本店 代表取締役社長

北野雅史

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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