ネリネとダイヤモンドリリーは別物? 秋冬に咲く花・ネリネをご紹介

ピンクのネリネ

秋に入り、10月〜12月に最盛期を迎える「ネリネ」という花をご存知でしょうか? 白やピンクなどの、ヒガンバナに似た形の花を咲かせます。花束やアレンジメントの主役にはなりませんが、繊細な花弁が可憐な印象を持つ、この時期の切り花の名脇役といっていいでしょう。隠れたファンも多いネリネの歴史やダイヤモンドリリーとの違いなどについて説明します。

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この記事の執筆者

青山花茂本店スタッフ

東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。

ヒガンバナと近縁のネリネ

1本の茎の先端にいくつかの花が集まって、四方に向かって細長い花弁を開く姿は、秋の彼岸に一斉に花を咲かせるヒガンバナを思わせますよね。このネリネは、原産地は南アフリカですが、同じヒガンバナ科(=リコリス科)の植物なのです。ヒガンバナは「ヒガンバナ科ヒガンバナ属」、ネリネは「ヒガンバナ科ネリネ属」ですので、親戚のようなものですね。花が咲く時にはすでに葉が枯れているという特性も同じです。そうしたことから、大正時代に日本に伝わった時に名付けられたのでしょう、ネリネには「姫彼岸花」という和名もあります。

ヒガンバナについて詳しくご説明している記事も、併せてご覧ください。

参照:「彼岸花(ヒガンバナ)の魅力 〜美しい花には毒がある?〜

赤いネリネ

サルニエンシス系とボーデニー系

南アフリカから渡った欧州では古くから園芸植物として品種改良が行われていたネリネ。日本に伝わったのは大正時代ですが、切り花として流通が盛んになったのは1990年代頃から。

現在国内で入手可能な切り花の大半は、品種改良の元となった原種の違いで、サルニエンシス系とボーデニー系に大きく分けられます。

表面に光沢があるサルニエンシス系

ネリネ・サルニエンシス種を元に作出された「サルニエンシス系」のネリネは、花弁の表面に光沢があり、光にかざすとキラッと光るものが多い印象です。輸入品も一部ありますが、国内での切り花の生産が盛んで、入荷する品物の多くが国産のものです。

柔らかい印象のボーデニー系

ネリネ・ボーデニー種を元に作出された「ボーデニー系」のネリネは、サルニエンシス系と比べると花弁が長細く柔らかい印象があります。入荷する切り花のほとんどが輸入品で、ビアンカーネブや、ベスタK、ラスバンルーンなどが代表品種です。

ピンクのネリネ

ネリネとダイヤモンドリリーは別物?

詳しいお客さまから、「ネリネとダイヤモンドリリーは同一なのか?」というご質問をいただくことがありますが、「ダイヤモンドリリーはネリネの一種」という回答が正しいと私は思っています。

そもそもダイヤモンドリリーという名称は、サルニエンシス系のネリネの表面の輝きの美しさから欧米でつけられた呼び名で、日本の生産者さんたちも、サルニエンシス系の光沢のあるものを「ダイヤモンドリリー」という商品名で出荷しています。しだいにその名称が知られるようになり、「ネリネ」という名称が消えて「ダイヤモンドリリー」という名前のみ記憶されている方も多いのかもしれません。ただ、ダイヤモンドリリーも原種が「ネリネ・サルニエンシス」なのだからネリネであることには違いがないと言えます。

いずれにしても、ダイヤモンドリリーはネリネの一種であることと、ダイヤモンドリリーと呼ぶべきなのはサルニエンシス系のネリネのみであること、この2つを覚えておくのがいいのではないでしょうか。

ダイアモンドリリー
サルニエンシス系のネリネの花弁

ネリネを使ったフラワーギフトのご紹介

ネリネは品種改良が進み色も多様で、何より花付きが良く花持ちもするようになりました。ボリュームの割に単価の高い品種ではありますが、青山花茂のフラワーデザイナーもアレンジメントなどで重宝している花材で、秋から冬にかけて、ネリネを使ったアレンジメントや花束を取り揃えています。

大人びた雰囲気の中にも可憐さを感じるアレンジメント

ピンクのダリアとネリネのアレンジメント
アレンジメント<スプレンダー>

器いっぱいに咲きあふれる、鮮やかなピンクのダリアやワインレッドのカラー、複色のカーネーションなど。ピンクのネリネやワインレッドのトルコキキョウ、ハイドランジアも加わって、冬の季節に温かみを感じていただけるような仕上がりです。

ピンクのネリネやドライコットンの季節感あふれる花束

淡いピンクのネリネとバラ、コットンのブーケ
花束<ブリューム>

淡いピンクの大輪バラやネリネ、トルコキキョウにベージュのカーネーションなど、優しい色合いの花々にドライコットンと赤いヒペリカムでクリスマスらしく仕上げました。

ネリネと季節の花々でお作りしたおまかせ花束

白いネリネとワインレッドのダリアのブーケ
季節のおまかせ花束【ご予算・花色指定可】

繊細な印象の白いネリネに、ワインレッドのボール咲きのダリア、明るい茶色のバラなど。実ものやリーフを合わせて、冬らしい落ち着きのある色彩の花束に仕上げました。

 

白とピンクのネリネのブーケ
季節のおまかせ花束【ご予算・花色指定可】

くるんとカールした花びらが美しい淡いピンクと白のネリネ、白いスプレーバラやマーガレット、淡いグリーンのスプレーマムやトルコキキョウ、ピンクのナデシコなどの優しい色彩の花々をたっぷりと。花畑のようなにぎわいを感じる花束です。

可憐な秋冬の花、ネリネをお楽しみください

細長く繊細な花弁が美しいネリネ。ネリネの歴史やダイヤモンドリリーとの区分けなどについて、ご興味を持っていただけましたでしょうか。

ネリネは、切り花にしても花持ちがよく、ふんわりと可愛らしい印象をプラスしたい時にぴったりな花です。切り花のお取扱いは、10月から12月末頃まで。これからの花贈りのシーンに、ネリネを使ったフラワーギフトを選んでみてはいかがでしょうか。

淡いピンクのネリネとバラ、コットンのブーケ

 

この記事を書いた人

青山花茂本店代表取締役社長北野雅史

株式会社青山花茂本店 代表取締役社長

北野雅史

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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