ふわふわとした綿毛のような質感が特徴的なスモークツリー。
一度見たら忘れられない個性的なフォルムをしたその植物は、別名「煙の木」と呼ばれているウルシ科ハグマノキ属の落葉樹です。
最近では庭木としても人気が高く、シンボルツリーとしてお家の庭などに植えられているのを見かけます。
今回のブログではスモークツリーの名前の由来や花言葉、お手入れ方法やドライフラワーの楽しみ方などを詳しくご説明します。
目次
スモークツリーってどんな花?特徴や花言葉など
スモークツリーは、ヨーロッパやヒマラヤ、中国に分布するウルシ科ハグマノキ属の落葉樹です。明治時代に日本に渡来し、庭木や切り花として普及してきました。
青山花茂でも初夏の時期になると、アレンジメントや花束、活け込みなどの花材としてよく使っています。ふわふわとした柔らかな風合いが、アレンジに動きやアクセントを添えてくれる枝もの(えだもの)です。
スモークツリーの名前の由来とは
その見た目の通り、英名を「smoke tree」、和名を「ケムリノキ(煙の木)」と言い、ふわふわとして煙を巻き上げているように見えることから、この名が付けられました。
この他にもハグマノキ(白熊の木)、カスミノキ(霞の木)という別名もありますが、ハグマ(白熊)の毛で作られる仏具に似ていることや、霞がかったように見えることなど、いずれも見た目に由来しています。
スモークツリーの花はどれ?
スモークツリーは5月中旬〜7月上旬頃に咲く初夏の花木(かぼく)ですが、どの部分が花なのかをご存知でしょうか。丸いふわふわとした部分を花だと思っている方もいるかもしれませんが、この部分は花ではありません。スモークツリーの本来の花は枝先につける3~5mm程度の小さな花です。
この花を咲かせた後、花柄(かへい)という雌木の軸の部分が長く伸びて綿毛のような見た目と触感になるのです。これは、種が遠くに飛ぶように進化したもので、花柄の先についた種を遠くに飛ばす役割を担っています。
スモークツリーはイチョウなどと同じく、雌雄異株(しゆういしゅ)という雌花と雄花を別の個体につける植物です。そのため、ふわふわの花柄となり種をつけるのは雌花のついている雌株だけになります。
スモークツリーの花言葉
スモークツリーの花言葉は「煙に巻く」「賢明」「儚い青春」「賑やかな家庭」。
「賢明」は相手を煙に巻くことから、「儚い青春」はすぐに消えてしまう煙を儚い青春時代に例えたことが由来なのだそうです。名前の由来と同じように、スモークツリーの特徴的な見た目から連想される花言葉がつけられています。
スモークツリーに触れるとかぶれる?
前述のようにスモークツリーはウルシ科の植物です。同じウルシ科の植物にマンゴー、ピスタチオ、カシューナッツなどがありますが、マンゴーなどを食べて口が痒くなったり、手がかぶれたという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。これはそれぞれの植物が持つ成分とウルシの持つ成分の化学構造が似ていることが原因です。
スモークツリーも同様に、枝などに触れると、肌の弱い方やアレルギーを持っている方は皮膚がかぶれてしまうことがあります。水揚げや剪定を行う際には、枝の切り口からマツヤニに似たヤニが出てくるため特に注意が必要です。スモークツリーの剪定などを行う場合は直接触れてしまわないように手袋などを装着するとよいでしょう。
スモークツリーの花瓶活けが人気の理由
庭木のイメージが強いスモークツリーですが、最近では花瓶活けに使う花材としても人気があり、お部屋のインテリアとして花瓶に飾る方も増えています。また、ショップやイベントなどの活け込みにもよく使われているのを目にしますが、人気の理由はどこにあるのでしょうか。
スモークツリーの人気の理由1:ふわふわとした柔らかな質感
なんといってもふわふわとした柔らかな質感が人気の最大の理由です。スモークツリーのユニークなフォルムは、他の花材では代用できない唯一無二の魅力があります。霞がかったような風合いが、初夏の涼しげな季節感を演出してくれるため、フラワーデザイナーとしてもこの時期に使いたくなる花材のひとつです。
スモークツリーの人気の理由2:ボリュームが出しやすい
私たちが活け込みなどの大きなアレンジを作る際、スモークツリーのようなボリュームのある花材は大変重宝します。丸みのあるふっくらとしたスモークツリーを使うことで、少ない花材でもボリュームアップでき、華やかな印象になることが支持される理由でもあります。
スモークツリーの人気の理由3:枯れても見た目が変わりにくい
もともと少しくすんだような色味のスモークツリーは、少し枯れても見た目の変化を感じにくい花木です。時間が経つに連れて、花柄は徐々に固くなり、色味も多少変化しますが、性質上、他の花木に比べて生花のような風合いを長く楽しむことができます。さらにその後はドライフラワーにすることも可能です。
スモークツリーのお手入れ方法と飾り方
5月中旬〜7月上旬頃まで生花店に並ぶスモークツリー。他の花木よりも長く楽しむことができるとお伝えしましたが、せっかくお部屋に飾るならば美しい状態で長持ちさせたいですよね。
青山花茂のフラワーデザイナーに、日持ちさせるためのお手入れ方法とおしゃれな飾り方を聞いてみました。
ご自宅でのお手入れ方法
1. 切り口をカット
スモークツリーを購入したら切り口が乾かないうちにカットしましょう。
水を吸い上げる面積が多くなるように、斜めに切ってください。
2. 中のワタを取り出す
枝の中のワタを取り出して、できるだけ水を吸い上げられるようにします。
3. 水揚げ剤につける
青山花茂では、カットした枝先を酸性の水揚げ剤につけて水を吸いやすくしています。
ご家庭で行う場合は、ミョウバンなどで代用することができます。
4. 余分な葉っぱを取り除く
余分な葉っぱがあることで蒸散活動が活発になり、枯れやすくなってしまいます。
葉っぱはすべて取り除き、ふわふわとした花柄部分だけにしましょう。
5. 水に入れる
1〜4までの処理を行ったら、すぐに水に入れるようにしてください。時間をかけると水を吸い上げにくくなるので、素早くすませます。
複数本行う場合には、処理が終わる度に水に入れるようにしましょう。
スモークツリーのおしゃれな飾り方
スモーキーな色味と質感のスモークツリーはお部屋をおしゃれに彩るインテリアに最適です。スモークツリーだけをシンプルに活けるのも素敵ですが、他の花と合わせて季節感を楽しむのも趣があってよいでしょう。
スモークツリーはメインの花材を引き立たせてくれる枝ものなので、基本的にはどのような花ともよくなじみます。特に、カンパニュラやクレマチスなど同じ初夏が旬の花と合わせると、涼しげな雰囲気に仕上がるためおすすめです。
またスモークツリーのスモーキーな色味を活かし、深みのある色合いの花々と合わせてシックな色調に仕上げてもきれいにまとまります。
生花を楽しんだ後はドライフラワーにしてみましょう
スモークツリーはドライフラワーにするのも比較的簡単なため、生花を楽しんだあとはドライフラワーにしてみてはいかがでしょうか。
一般的には逆さに吊るすハンギングという方法がありますが、スモークツリーはそのまま花瓶などに立てておいてもドライになります。
きれいなドライフラワーに仕上げるコツとしては、なるべく直射日光の当たらない乾燥したお部屋や、風通しのよい場所に置いてください。ドライにしても見た目があまり変わることなく、スモークツリーならではのふわふわ感を楽しむことができます。
ぜひドライフラワーも試してみてくださいね。
スモークツリーのフラワーギフトをご紹介
青山花茂では、スモークツリーのお取扱いがある5月中旬〜7月上旬頃までの間、スモークツリーを花束やアレンジメントに入れてお作りすることができます。
フラワーギフトをご注文の際に花材や色味などのご指定がある場合は、お電話またはWebフォームよりご連絡ください。ご要望を伺い、青山花茂のフラワーデザイナーがご用途にふさわしくお作りします。
お好みの色でお作りする季節のおまかせアレンジメント【ご予算・花色指定可】
※画像は5月中旬〜7月上旬頃にお届けしたおまかせアレンジメントの一例です。
お好みの色でお作りする季節のおまかせ花束【ご予算・花色指定可】
※画像は5月中旬〜7月上旬頃にお届けしたおまかせ花束の一例です。
ショップやご自宅への活け込みを承ります
フラワーギフトだけでなく、オフィスやショップ、個人さまのご自宅への活け込みのご依頼も承っています。出張もしくはお電話でのカウンセリングを実施し、スモークツリーをはじめ、インテリアや間取りに合う四季折々の花々や枝ものをコーディネートします。
詳しくは、下記の青山花茂のフラワー・サービス、スペースコーディネートのページをご覧ください。
スモークツリーの最盛期は6月
個性的なフォルムと質感が魅力的なスモークツリーですが、生花店に出回るのは5月中旬〜7月上旬頃まで。最盛期は6月です。
青山花茂での今年の取り扱いは既に終わってしまいましたが、7月に入っても場所によっては庭木として咲いているスモークツリーをまだ見ることができます。
来年、生花店などで見かけた際には、ぜひ最も美しい旬の時期のスモークツリーをお楽しみください。
この記事の監修者
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
北野雅史
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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この記事を書いた人
青山花茂本店
東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。
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