卒業式・入学式にまつわる花のあれこれ。演出や贈呈の種類、注文する際のコツをご紹介します

入学式の桜の活け込み

3月から4月は、卒入園・卒入学や入社式など、出会いと別れの式典の時期ですね。青山花茂でも、卒業式や入学式の花の演出をたくさんお手伝いさせていただいています。

今回は、卒業式(卒園式)や入学式(入園式)の花贈りについて、学校や保護者の方がまとめて注文するオフィシャルなものや、個人的に贈る花束などのフラワーギフト、卒入園・卒入学のご用途におすすめの花についてご紹介します。

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。

卒業式・入学式にまつわる花(オフィシャル編)

卒業式・入学式には壇上花(だんじょうばな)・コサージュ・花束など、さまざまなシーンで花を見かけると思います。それら花の手配は、学校の先生方や事務方、またはPTAなどの保護者の方がされていて、特に幼稚園や小学校ぐらいまでは、保護者の方が関わる比重が高いように思います。

「前任者との引き継ぎがうまくできずに手配の仕方や予算がわからない」という声を聞くこともあるので、この章では卒入園・卒入学に関わる“オフィシャル”な花についてまとめています。以下の表で、それぞれのご発注担当やご予算について一覧化しました。

卒入園・卒入学に関わる花の全体像
(オフィシャル編)

  卒業式or入学式 ご発注の担当 ご予算
卒業式
(卒園式)
入学式
(入園式)
学校関係者 保護者
壇上花/盆栽
(を始めとする舞台装飾)
  30,000円〜
来賓控室の卓上花など   3,000円〜5,000円
先生方がつけるコサージュ 500円〜2,000円
生徒がつけるコサージュ 500円〜1,000円
先生方に渡す花束     3,000円〜7,000円
生徒に渡す花束   500円〜2,000円

壇上花・盆栽を始めとする舞台装飾

卒業式や入学式で、校長先生がお話される舞台中央の演台の隣にある大ぶりな花を「壇上花(だんじょうばな)」といいます。「演台横の花」と呼んだり、シンプルに「壺花(つぼばな)」と呼ぶ場合もありますね。

多くの場合は、演台の横に花を置く台(花台:かだい)があり、その上に花器に活けた花がありますが、花台無しでスタンド花の形式で設置されている場合もありますし、大きな壺を床に置いて桜などの活け込みを依頼されることもあります。

卒業式の壇上花
花台(かだい)の上に置いたオーソドックスな壇上花

壇上花は、器に水を入れて現地で花を活け込むか、器にオアシスという吸水性のスポンジをセットしてアレンジメントとして事前に作ったものを設置します。壇上花のご予算は、都内の学校では大体3万円前後が通常ですが、幼稚園では少しボリュームダウンするので安価になるケースが多いです。

この壇上花の代わりに、盆栽を設置する学校もあります。盆栽業者が一日限りのレンタルを請け負ってくれるので、生花店に発注した場合は、旧知の盆栽業者にレンタルを委託するケースが大半でしょう。盆栽でもサイズによりますが、一日3万円程度からレンタルが可能な場合もあります。

一方、ご予算のある学校だと、壇上花や盆栽など演台横に置くだけでなく、ステージの最前面に縁取りのように低く花を飾るなど、さまざまに舞台を花で装飾されることがあり、式をいっそう華やかなものにすることができます。

卒業式の壇上花
ステージの最前面を縁取りした装飾

いずれの場合も、舞台上の装飾は学校の先生や事務方がお花の手配を担当されることが多いです。卒業式・入学式シーズンは生花店もおかげさまで仕事の多い時期ですので、大規模な装飾や、盆栽の手配を検討されている場合は、1ヶ月ほど前にご注文されると良いでしょう。

来賓控室などの卓上花

さほど多くないですが来賓控室のテーブル上に花を飾ったり、会場までの導線に花を飾ったりするケースもあります。これも発注は学校職員の方がされるイメージです。

ラナンキュラスの花瓶活け

先生方や生徒がつけるコサージュ

卒業式では、先生方が生花のコサージュをつけるケースを見かけます。ご予算のある学校では卒業生もコサージュをつけていますね。逆に入学式は、先生方だけ、というパターンが多いように思います。

手配を担当するのは先生方や事務方の学校側であることが多い印象。コサージュの胸元への固定の方法で単価が変わってきます。安全ピンなどがついた立派なものだと資材の準備のため高くなりますが、胸ポケットに茎をさすだけの簡易な方法だと、少し予算を抑えられるでしょう。

また、コサージュは保水が無いか少ない状態で数時間鮮度を維持しなくてはならないので、コサージュで使う主な花は、カーネーション・デンファレなどの比較的日持ちのする花となります。バラなどを選ばれる方もいらっしゃいますが、コサージュの形状にして水からあげてしまうと、鮮度維持が心配というデメリットがあります。

ピンクのカーネーションのコサージュ
胸ポケットに茎をさすタイプのカーネーションのコサージュ

尚、コサージュは造花の場合も多いです。特に花を傷つけてしまうリスクのありそうな幼稚園生には、造花のコサージュがおすすめです。単価は生花とあまり変わらないか少し高い程度です。

卒園式・卒業式に。先生への感謝の花束

卒園式・卒業式や謝恩会などで、先生方へ、卒業生や保護者の方からの感謝のしるしとしての贈呈用の花束のご注文も多くあります。多くの場合、保護者の方が手配を担当されるケースが多く、同じ学校や幼稚園であってもご予算が前年と異なることがありますが、3,000円〜7,000円程度でしょうか。

それなりの「贈呈感」が必要となりますので、一定のボリューム確保のために5,000円程度のご予算をお出しになること、また細かい花材の指定は逆にボリュームを小さくする可能性もあるので、旬の花で生花店にお任せすることをおすすめめします。

袋に入ったラナンキュラスのブーケ
春の花でお作りした贈呈用の花束

卒業生一人一人に渡す小さい花束

これはさほど多くない事例かもしれませんが、小学校や中学校などで見かけるのは、卒業する生徒たちが退場する際に花束が渡されるシーン。

この花束は、チューリップやラナンキュラスなど春の花を1本を包む「1本包み」レベルの小ささでも構いませんが、1,000円前後のご予算で花を3〜5本程度入れた花束を人数分、学校にお届けすることが多いです。

学校側が用意する場合もありますし、PTAが発注する場合も。これも数によっては早めのご注文で品物を確保させたいところです。

チューリップとスイートピーのブーケ
チューリップとスイートピー数本でお作りした花束

卒業式・入学式にまつわる花(プライベート編)

前述したオフィシャルな花贈りの方が、ご注文のボリュームとしては多いですが、個人的なお祝いの花のご注文もよくいただきます。

ここでは、プライベートで卒業式や入学式に花を贈る場合のシーン別おすすめスタイルをご紹介します。

式の当日手渡しする場合は花束

ラナンキュラスやスイートピーの花束
ピンクのラナンキュラスやチューリップの花束※ご注文の際はお問い合わせください

大切な方への節目や門出の日、サプライズで花束をお渡しするのはいかがでしょう。式が終わった後にサプライズで渡せば、喜びもひとしおです。当日その場で渡す場合は大きすぎないサイズ感のものを選ぶこともポイントです。

また当日、学校周辺の生花店は、花束を求めるお客さまで混雑します。前日までに予約を入れておくと、スムーズに受け取りができるのでおすすめです。

ご自宅にお届けするならアレンジメント

桜とラナンキュラスのアレンジメント
春のアレンジメント<フロレゾン>

卒業式や入学式の当日は、式典への出席や身内でのお祝いなどで何かと慌ただしいもの。届いてすぐに飾れるアレンジメントは、忙しい卒業式・入学式シーズンのお祝いにぴったりです。

事前に(もしくは後日)ご自宅へお届けすれば、落ち着いて花を受け取り、ゆっくり楽しんでいただくことができます。式の日程を事前に確認した上で、前後1週間以内に贈りましょう。

思い出を長く手元に残すことができるプリザーブドフラワー

赤いバラのボックスプリザーブドフラワー
プリザーブドフラワーフレーム<パルタージュ>

お祝いの花をより長く楽しんでもらいたい場合は、プリザーブドフラワーがおすすめです。水が必要ないのでお手入れの手間もかからず、その美しさを長くお楽しみいただけます。

こちらもアレンジメントと同様に、式の前後1週間程度の手配が望ましいです。

卒業式・入学式シーズンにおすすめの花

卒業式・入学式シーズンは春の花々が豊富な時期。ここでは、おすすめの花をいくつかご紹介します。

その年の気候や注文する時期によって、入荷状況やおすすめの花が変わってくる場合があるので、注文する際には生花店に相談してみると良いでしょう。

卒業式や入学式にぴったりの桜

ピンクの桜

卒業式・入学式シーズンの象徴的な花といえば桜。地域にもよりますが、3月下旬から4月上旬は戸外の桜の開花時期とも重なるため、桜で作る花束は、卒業式・入学式の花贈りにぴったりです。

切り花の桜は促成栽培されたものが出回るため12月頃から入手が可能ですが、3月には染井吉野、4月には八重桜などのメジャーな品種を使用することが多いです。

参照:日本の桜の品種はどれくらいある?種類や特徴、ルーツについて解説します

エレガントな印象のラナンキュラス

淡いピンク色のラナンキュラス

花びらが幾重にも重なった姿が美しいラナンキュラス。近年人気が上昇している春の花です。

ノーマルな大輪のものやポンポン咲き、アネモネ咲きなど、色や咲き方のバラエティが豊富なことも特徴で、お祝いのシーンを華やかに演出する主役の花としても活躍します。

参照:人気急上昇中の春の花ラナンキュラス。花づくりの現場を訪れました

春の花の代名詞、チューリップ

赤と白が混ざったチューリップ

春の花の代名詞と言えるほどポピュラーな花のチューリップ。カラフルで丸みを帯びた花びらが可愛らしく、性別を問わず幅広い世代の方に親しまれている花です。

チューリップ一種の花束もシンプルで素敵ですし、他の花と組み合わせても良いでしょう。

参照:人々を魅了するチューリップの歴史。咲き方の種類や飾り方のコツをご紹介します

甘い香りと凛とした花姿のフリージア

淡いピンクと白のフリージア

甘い柑橘系のようなフルーティーな香りが特徴のフリージア。和名は香りに由来して、「香雪蘭(コウセツラン)」と名付けられています。

色は流通量の多い黄色以外に、ピンクや白、赤、紫などがあります。スラッとした姿と明るい花色は、お祝いの花束やアレンジメントのワンポイントとして重宝します。

卒業式・入学式の花贈りについてご相談ください

今回は、卒業式(卒園式)・入学式(入園式)の花贈りについてご紹介しました。

花の選び方や贈り方など、迷われた際にはどうぞお気軽にお問い合わせください。経験あるスタッフとフラワーデザイナーがぴったりのフラワーギフトをご案内します。

お電話やオンラインショップから、皆さまのご注文をお待ちしています。

お問い合わせはこちら

電話:03-3400-0871
FAX:03-3400-8711
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この記事を書いた人

青山花茂本店代表取締役社長北野雅史

株式会社青山花茂本店 代表取締役社長

北野雅史

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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