四十九日法要にお供えの花を。節目の理由や花贈りのマナーを解説します

紫と白のご供花

お供えのフラワーギフトのご注文の中で、枕花・御葬儀に供える花・御命日の花と並んで多い「四十九日(しじゅうくにち)」のご供花。

皆さんも「四十九日」という言葉は耳にすることはあっても、それが本来どのような意味を持つのかは考える機会が少ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。四十九日の意味合いと、ふさわしい花贈りについて整理しました。

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。

四十九日が節目である理由

四十九日(しじゅうくにち)とは、お亡くなりになった日を1日目として数えて49日目に当たる日で、仏教では、亡くなった方が極楽浄土に行く日とされ、「忌明け(きあけ)」となる節目です。

四十九日までの間は、現世と来世をさまよいながら7日ごとに来世の行き先の審判が行われており、その最終審判が49日目に下されて晴れて成仏して極楽浄土に行ける、とされているのです。

四十九日にはお寺やセレモニーホールやご自宅で「四十九日法要」を開くことが通例となっており、親族や友人が集まってお経を上げてもらい、極楽浄土へ行く故人の供養を行う節目となります。

かつては7日ごとに法要を行うことも珍しくなかったようですが、今は初七日と四十九日のみ法要を行うケースが全国的には多いのではないでしょうか。(初七日は葬儀の日に兼ねる場合が多い)

また、四十九日は「忌明け」の節目ですから、喪に服していたご遺族の心や生活も日常に戻っていくきっかけになると、祖父の四十九日法要の際に御住職に教わった記憶があります。

法要のイメージ

三十五日法要を行う場合も

関東では四十九日に節目の法要を行う方が大半だと思いますが、地方や宗派によっては、四十九日法要を執り行わず、三十五日(さんじゅうごにち)法要をメインに考えることもあると聞きます。

特に49日間が3つの月にまたがっている「三月またぎ」をよくないと考える場合は、四十九日法要の代わりに三十五日に法要を行ってしまうこともあるようです。

一方で、私どものお客さまの中には、枕花・三十五日忌・四十九日忌の全てに供花を送られる方もいらっしゃり、信心の在り方は多様です。

神道における五十日祭

仏教では初七日、三十五日、四十九日というように七日ごとに節目が訪れるのに対して、神道の場合は十日祭(とおかさい)、三十日祭(さんじゅうにちさい)、五十日祭(ごじゅうにちさい)、と10日ごとに節目を設けており、仏教で法要が行われるように「霊祭(れいさい)」という儀式を神職が行います。

神道でも五十日祭までを忌中としており、確かに私たちが神道のお客さまに関わる中でも、お亡くなりになった直後以降は、五十日祭に花を贈られる方が多く、仏教の四十九日に似た大きな節目となっているように感じます。

キリスト教で四十九日と似た節目はあるのか

「四十九日で極楽浄土に行く(仏教)」、「五十日祭で守護神になる(神道)」といった節目はキリスト教にはないので、訃報からしばらく経って花を贈るきっかけは少ないのですが、お亡くなりになった後に1ヶ月後ぐらいに追悼ミサが行われることがあり、その際に花をお届けした経験はあります。

白とグリーンの追悼ミサの花

四十九日に贈る花のマナー

四十九日の花の色味・種類やお届けする際のマナーについて問い合わせをいただくことも多いので、以下に簡単に四十九日の花贈りで押さえておきたい点をまとめました。

四十九日に贈る花のマナー① どこに届ける?

法要のイメージ

四十九日は、仏教においては大きな節目なので、枕花・御葬儀・御命日と並んで花を贈る方が多い印象です。まず、花をどこに届けるべきなのでしょうか。

お寺やセレモニーホールやご自宅で四十九日法要が行われる場合は、その場所に届けるのが一般的です。法要が行われない、もしくは行われるかがわからない場合は、ご自宅にお届けするケースがほとんどです。

四十九日に贈る花のマナー② アレンジメント?花束?

淡いピンクのトルコキキョウとユリのアレンジメント

四十九日に贈られる花で最も多いスタイルはアレンジメントです。やはり花束よりもお手間がないことがその理由でしょうか、体感では9割ほどがアレンジメントのご注文です。ご予算としては1万円〜2万円程度でご依頼される方が多い印象です。

また、ご遺族からのご注文の場合、一対(2個)のアレンジメントをお届けする場合もあります。これは、お寺やご自宅での法要の際に、ご遺影の両サイドにアレンジメントを設置するためで、比較的ポピュラーなスタイルとなっています。

アレンジメントに日持ちの懸念がある場合は、蘭鉢のお届けもおすすめです。大輪の胡蝶蘭だとだいぶ立派になりますが、ミディ胡蝶蘭であれば場所も取らず、長く楽しんでいただけるでしょう。

お供え用のミディ胡蝶蘭
ミディ胡蝶蘭<アマビリス>(中輪・白・3本立・ご供花用)

四十九日に贈る花のマナー③ 花の色や種類は?

四十九日を過ぎるまでは、お供えの花は白でまとめるのが好ましいと考える方が多いですが、忌明けの節目となる四十九日の際は、淡い色の花や故人の好きな花を取り入れて温かみを添えることをおすすめしています。

青山花茂では、四十九日とそれ以降にお届けのお供えの花で、色のご指定がなければ、白を基調に淡いピンクや淡い紫の花を2〜3割は含めた色配分でお作りしています。

花の種類としては、「お供えといえば白菊」という考えはもはや主流ではないと考えており、青山花茂でアレンジメントを作る場合は、オリエンタルユリ・トルコキキョウ・カーネーション・カラー・胡蝶蘭などの洋花での構成となる場合がほとんどです。

もちろん故人が好きだった花や、地域の慣習に沿って、花の種類や色は自由度を持って選ばれると良いでしょう。

白と淡いピンクのご供花
白と淡いピンクのアレンジメント(ご供花)

四十九日に贈る花のマナー④ いつどうやって届ける?

お寺やセレモニーホールなど、ご自宅以外の場所で法要が行われる場合は、法要前日もしくは法要当日の開始前までにお届けできるよう手配します。前日のお届けの方が、お寺さんにもご用意のゆとりができて良いのかもしれません。

また、ご自宅へお届けする場合も、当日のあわただしい時間帯を避け前日までに届ける、もしくは当日の午前中指定で手配する方が多い印象です。

お届けの方法ですが、法要に間に合うようにする場合は、生花店から直接届けてもらうのが最もリスクが低いと言えるでしょう。

宅配便の場合、どうしても遅配や横倒しになってしまうリスクがあるので、必ず事故なく届けたい重要な催し物の場合は、生花店さんから直接届けるか、ご来店して花を引き取りご持参されることをお勧めしています。

青山花茂では、自社配達の域外の場合は、宅配便もしくは花キューピットを通じて現地の生花店からお届けする方法をお選びいただけます。

参照:お届け方法について

四十九日に贈る花のマナー⑤ 立て札への表記は?

お届けするアレンジメントや胡蝶蘭に、どのような立て札を立てるべきか、不慣れな方にとっては疑問に思う点かもしれません。

立て札の表記として一般的なのは、「御供+依頼主名」もしくは「依頼主名のみ」の表記で、これは四十九日もその他のお供えも同様です。

立て札は、3万円を超えるような大きなアレンジメントや胡蝶蘭の場合は木札で、その他の場合はハガキサイズまたは名刺サイズの紙製の札とすることが弊社では一般的ですが、「名前を小さくしたいから紙製の札で」「重厚感を出したいので木札で」といったご希望に沿ってお作りしています。

また、立て札という形式ではなく、ご遺族宛のメッセージカードをおつけする場合もあり、立て札とメッセージカード両方をおつけすることも可能です。

お供え札をつけたアレンジメント  

番外編:神道やキリスト教の場合の花贈りのマナー

神式の場合は、霊祭の馬に榊(さかき)や樒(しきみ)を飾る慣習もありますが、贈られる花としては多くのケースで仏式と似たような花になります。

花の種類も、仏式の場合と変わらず、オリエンタルユリ、カーネーション、トルコキキョウなどの洋花を中心に、状況に応じて菊などの和花を組み合わせてアレンジメントを作ります。全国的に榊や樒を仕入れられる生花店が少なくなってきたのも背景にあるかもしれません。

一方、キリスト教の方に贈られる際は、特にユリを入れることが多いですが、その他の花は季節の洋花で構成する形となり、これといった指定の形式があるわけではありません。

ユリを使った追悼の花

四十九日のほか、ご供花を贈るマナーや注意したい点

今回は四十九日にフォーカスしてまとめましたが、四十九日以外にも、ご供花を贈る際のマナーや注意点が気になる方もいらっしゃるかもしれません。お相手が仏教のケースで花の贈り方を表にまとめましたのでご参考ください。

また、以下の一覧表は一般的なケースとなっており、故人やご遺族との関係性や、相手先の宗派、地域の習慣によっても花のスタイル・色味・立札表記は異なってきますので、どうぞご注意ください。

時系列と花の呼称 花のスタイル 花の色味 立て札表記

枕花
(まくらばな)
※故人の枕元に飾る花。訃報を聞いたらすぐ手配

細網籠花

または

アレンジメント

 

白のみ

御供依頼主名

または

依頼主名のみ

もしくは

御霊前依頼主名





供花
(きょうか)
※祭壇を飾る花。一部の花は棺に納める

スタンド花

または

花祭壇

淡い色

花輪/花環
(はなわ)
※斎場の外に飾る。通常は葬儀会社が手配

スタンドの上に円形の造花 比較的明るい

献花
(けんか)
※お別れ会などで焼香の代わりに用いる。通常は葬儀会社が手配

一本の花 なし

初七日
(しょなのか)
※故人の極楽への旅立ちを祈る。葬儀の日に合わせて行うことが多い

細網籠花

または

アレンジメント
白のみ

または

淡い色
御供依頼主名

または

依頼主名のみ

もしくは

御霊前依頼主名
四十九日
(しじゅうくにち)
※極楽浄土に行き忌明けとなる節目。法要の会場もしくはご自宅に飾る

アレンジメント

または

蘭鉢

または

墓前には仏花
※一対の花束

淡い色

※先様との関係性により、故人にゆかりのある花や、季節の花でもOK

御供依頼主名

または

依頼主名のみ

もしくは

御仏前依頼主名

※四十九日を境に仏様になるとされるので「御霊前」は不適切

月命日
(つきめいにち)
※毎月の「命日と同じ日にち」の日。ご自宅に花を飾ることが多い
年忌法要
(ねんきほうよう)
※一周忌、三回忌、七回忌など節目の命日。法要の会場もしくはご自宅に飾る

初盆
(はつぼん・ういぼん)
または
新盆
(にいぼん・しんぼん)
※初めて迎えるお盆に供える花。お盆の入りの前日か、当日午前に届ける

お盆
(おぼん)
※故人が家に戻るとされる。東京のお盆は7月、他の地域は8月が多い
お彼岸
(おひがん)
※春分の日と秋分の日のこと。彼岸の入りの前日か当日午前に届ける

また、お供えの花贈りのマナーは、以下のブログからもご覧いただけます。

参照:【表で解説】供花、枕花、献花 葬儀・お悔みにまつわる花のマナー

ご供花のご用命は安心してお任せください

四十九日の意味合いや花贈りについての記事は、いかがでしたでしょうか。ご葬儀はもちろん、その後の節目に花を贈ることは、ご遺族の方にとっても何よりの慰めです。

花の選び方や贈り方などご相談いただけましたら、マナーに沿った花の贈り方についてもお伝えいたします。お気持ちを伝える花のギフトは、経験豊富な青山花茂本店へお任せください。

電話:03-3400-0871
FAX:03-3400-8711
FAX用紙ダウンロード(PDFファイル)

 

この記事を書いた人

青山花茂本店代表取締役社長北野雅史

株式会社青山花茂本店 代表取締役社長

北野雅史

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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